ヒカルの碁とドラえもん

少年漫画の中で一番注目していて大好きなのはジャンプに連載している、ほったゆみ原作/小畑 健漫画の「ヒカルの碁」です。

連載が始まった時は絵の巧さと(後で「サイボーグGちゃん」の人が作画だと知ってびっくりしました。あの漫画もGちゃんが若返ったときのカッコヨサがやたらと印象深い漫画でしたから)、碁というネタの持つ新鮮さが気にはなっていたのですが、新連載を継続して読むという事にひどく執着が無くなっており、加えてジャンプ自体にかなり幻滅していた時期でした(現在も幻滅しているという意味では変わらないですけど)ので、一話目の扉を見て以来そのままでした。

ところが徐々に面白いと言う話は伝わってくるモノで「気になる漫画」のリストには入っていました。

きっかけはすばるさんが3巻が出た時にまとめて買ってきたのを読ませて貰ってからです。

もう思いっきりはまりましたね。ジョジョが終わっても何とかジャンプの「ヒカルの碁」だけは読んでいました。(ジョジョが復活したので今はこの二作だけです)

この漫画の魅力は純粋にディティールの面白さと、キャラクター設計の巧さ、そしてストーリーの流れがまるで単調にならず、様々な方法でジャンプ漫画特有の戦いの串団子状態によるマンネリを防いでいる点だと思うのですが、やはり何よりも引かれるのはヒカルに憑いた幽霊佐為とのコンビモノとしての面白さです。

日本の漫画には結構こういったいわゆる「バディモノ」の秀作が多い訳で、ドラえもんはその中でも勿論TOPクラスの傑作と言えます。

ちょっと話をバディモノで続けると、このバディの関係の作り方の工夫が日本の漫画では様々に面白いモノが多いと思うのです。

例えば傑作中の傑作「寄生獣」の主人公の右手に寄生したミギーなどは、デビルマン的なモチーフを用いながら、どちらも自律しつつ身体を共有する変則型です。これがとにかくずば抜けて面白い効果を産むわけですね。

この「ヒカルの碁」の数多い魅力の中の一つとして、このヒカルにだけ存在が認知できる幽霊佐為との関係は、これからの物語の流れの大きなキーになることだけは巧妙に張られた伏線(布石)から読みとれて、楽しみが拡がります。

布石と言えばほったゆみ氏による絶妙としか言いようのない布石のはり方は、流石碁漫画と下手な冗談も言いたくなるほどですが、一番気になる布石はいまだ登場しないながらも一話目からセリフで登場している「倉田四段」ですね。

そして、主人公ヒカルの成長物語としても逃げに回らず、正攻法に真っ正面から描いている点も見逃せないのですが、中でも大好きなのはココ

↑子ども時代や下手をしたら大人になっても、「真剣」になるという事に躊躇いや恥ずかしさが常につきまとうのが、恐らく大多数の人だと思うんです。ただ、人間は必ずどこかで「真剣」になる瞬間というのがあり、そこで真剣になれないとずっと「逃げ」の人生を送る事になると思うんです。それぐらいこの「真剣」と言う言葉は重いと思うのですが、ちゃらんぽらんで脳天気なキャラ設定を背負ったヒカルは1巻で早くもこの「真剣」と言う事について、それこそ「真剣」に考える訳ですね。この辺りからこの漫画で一番の魅力だと思う「真摯」な娯楽性が感じられて、ハマってしまったんですね。

佐為がヒカルに碁の指南をする描写も、具体的な描写ではなく、佐為が真剣を抜いて太刀あわせをする事で描いているのも偶然ではないと思います。

それから、これも大好きな部分なのですが、勝敗に対する描き方も逃げてないので好きです。

ちゃんと負けた人間の方も描く事で、勝負というモノの凄みと、勝敗が全てではない事を活写していて惹かれます。

特に最初の大舞台である中学囲碁大会決勝でのコレ

↑佐為の碁という物に対するレベルの高い考え方がうかがえるセリフも良いんですが、ここはやはり先生の言葉ですねえ。これは泣きますよ。

「スラムダンク」や「はじめの一歩」などの大好きなところも、負ける側の描写が素晴らしいからなんですが、ヒカルの碁も全線全勝漫画にはない魅力が満ち満ちています。(勿論全線全勝漫画も好きなんですけどね)

で、

ドラえもんとの関係でもう一つ書きたいのですが、知人が佐為とヒカルの関係を「ジョジョ」のスタンドにたとえて捉えており、佐為がバリバリに活躍して(使って?)ヒカルが強敵をなぎ倒していくパターンを欲していたそうで、ちょっと物足りないと言う意見でした。

ほったゆみ氏が、そういうスタンスでこの二人の関係を作っていない事は、この漫画の物語の流れを見ていくとよりよく分かるわけですが、ボクがこの関係をドラえもんとのび太の関係に近いと考えているのも分かって頂けたと思います。

逆にドラえもんののび太に対するポジションってのはこの「成長を手助けする」と言う部分に集約されていると思うのです。

まあ、もっとも「ドラえもんだらけ」とかの手助けはドが過ぎて異常ですがね。

ではでは。