ねずみとばくだんと魔太郎

近くのTSUTAYAが全品100円均一をしていた。

細田守監督の「デジモン劇場版」を借りようと思ったが、借りられていてショックを受ける。こういうときは子どものモノが良く貸し出されるってのは、元レンタルビデオ店員としては良く知ってる。(だが、借りていく子ども達は他のデジモンと十把一絡げで借りているんだろうなあ、と思うと何だか微妙にヤな気分)

そこでちょうど、近くには揃っていなかったドラえもんTVシリーズが全巻借りられずに揃っていたので、その中から前々からこちら「思い出せ!あの金曜日の感動」でお薦めだった「ねずみとばくだん」の入った巻を借りることにした。

収録されている話がドレもコレも個人的に思い入れのある話ばかりだったので嬉しかったのだが、帯番組時代のドラえもんは作画の「何か違うぞお」感も含めて楽しめるのだ。

で、「ねずみとばくだん」なんですが、これがやたらと異色っていた。

他の話は良しにしろ悪しきにしろ子供向けを意識した作りなのに対して、この作品だけ何をトチ狂ったのかドラえもんのねずみに対する恐怖心を冴えに冴える演出でえぐり出すのだ。

特筆なのは、台所にて姿の見えないねずみに対して、機関銃を構えたドラえもんが緊張感をギリギリ増していくシーン。

不安定な構図でドラえもんの緊張しまくった(壊れかけた)表情を次々と心拍音に合わせてカッティングするや、その合間に何気ない台所の隅へのズームショットがインサートされたりして、やたらと緊張感が高まる。しかもその緊張感が機関銃乱射などで発散せぬまま、継続されて屋根裏まで引っ張ってしまうと言う異常さ。

ボクはゴキブリが大の苦手なんですが、あの恐怖というのはゴキブリ自体の恐怖(姿形、動き、息づく腹、こちらが気付くと止まる、動く触覚、飛ぶ等々)もさることながら、登場する(発見してしまう)事によって、自分の中に恐怖も呼び起こされてしまう点にあると思う。

要するに出て来なきゃ別にいいのだ(よかないけど)

ココ数年見ていないが、上京してから住んだボロアパートが凄まじくて、文字通り戦争状態だった。以前から一匹だけを見ることはあっても、初めて「複数同時」に登場すると言う恐怖を味わってしまったのだ。「エイリアン」から「エイリアン2(ALIENS)」への方式と一緒の恐怖だ。

まあ、それはさておき、この話の演出は、その「見えざる恐怖に対しての、自分の中の恐怖」を見事に活写している点が素晴らしい。

オバケというのは、実際にいるかどうかが恐いのではなく、居ると感じた瞬間から当人にとっては実在するから恐い訳で。

脱線するが、ボクは「幽霊」を観たことがあります。と言うのは、ある夜テレビを観ていたら、カーテンの隙間から頭の毛が無造作に刈られた女の生首が浮いていて、自分を視ていたのです。

あの時の恐怖と来たら凄まじくて、身動きがとれなくなるし、本当に血管の中の血液がサアーっと冷えていくのが感じられたほどです。それでいて「ああ、遂に見ちまった」と言う冷静な自分も居たのですが、そのおかげでしばらくするとその生首が何か見たことのある面構えであることに気付きました。

あ!

と思ってテレビの上を見ると、そこには映画の撮影に使った「床屋に頭を刈られるマネキンの首」がのっていたのです。それがちょうどガラスに映り込んで…

分かってしまえばタダの笑い話ですが、これぞ幽霊の恐怖なんですな。そして、ボクは「本当に幽霊を見た時の恐怖」を実際体感できた訳で、これは貴重な体験でしたよ。

話を戻すと、ドラえもんは屋根裏で遂に姿を見せないねずみに狂ってしまう。

そして有名な地球破壊爆弾を取り出すわけですね。

原作は割とそこまでに行く恐怖感が理詰めと画の恐怖感(F先生の十八番)で高められていくんですが、アニメは力技と言いますか人間の生理に近い生々しい恐怖を募らせていく点が素晴らしく、原作では唐突に狂ってしまうドラえもんというイメージとは違って、「そりゃ狂うな」と納得させる演出力なのです。

と言うわけで100円でなくても見る価値はあるので、お近くのビデオやさんにあったら借りてみて下さい。

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先日に引き続いて「魔太郎がくる!!」の2巻を、新刊書店で購入。定価で買って仕舞うところに自分の中でランクアップを感じる。(その前に小一時間かけて中古書店を探したが見つからなかったことは、この際秘密にしておこう)

で、またまた凄まじくスパークしているんですなああ。

先ずそろそろ出始めたマニア系ネタが連発。切手マニアからモデルガンマニアまで。それぞれの名前が取りあえずイカします。

切手博士の「間似谷(まにや)くん。

まあ、基本的な所ですよね。はははは。こいつが魔太郎がおじさんから貰って貴重な切手を価値を知らない魔太郎から安上がりに奪っちゃう。

でも、魔太郎「やっぱり返してくれ」は通らんだろう。そりゃ無茶だ。

まあそれでも魔太郎は逆ギレで「うらみ念法 切手たつまき」(なんだよ、それ)

で、次が銃マニアのその名も「呉次」。しかも苗字が「巌」!

かっこいい! ガンクレイジーっすね。

でも、この人魔太郎と心を通わせて、潔い生き方をしてくれるので、珍しく良いキャラなんですよね。泣ける。A先生さすがにマニアへの愛がしっかりしています。ははははは。

しかし魔太郎の変節はまだまだ炸裂が止まらないんですね。それがコレ

↑ママお手製のチョッキを着てご満悦のポーズ。まあ、これはその後魔太郎がファッション・モデルになる(異常)の伏線なんですが…ママの科白が極めて具体的なのが素晴らしい。

コレ見て直ぐにちびまる子ちゃんを思い出しましたよ。ながれている血は同じ血液型だと思いますねこの二つの漫画は。

そして、あ! っと驚いたのがコレ

↑その名も切人と言う「おそろしいチビ」(by魔太郎)。こいつときたら度の過ぎたイタズラばかり無意味にしまくって、魔太郎も怒り心頭になるが、何と魔太郎が負けてしまうと言う進退窮まっている爆笑譚でした。

「この次はきっと おまえを降参させてやるからな!」

と闘志を燃やす満賀…じゃない魔太郎が笑えます。降参って…

「ふ、腹話術か!!」

と、見当違いの所で仰天する部分も何気に見逃せないポイント。

もっとも、ドラえもん読者にとって非常に気になるのはコレとの類似じゃないでしょうか。

「かならず当たる手相セット」(だから、もうそれは相じゃないだろう)から、かなり狂った珍しい(ドラの中では)ガキである、キイちゃんだ。

可愛らしい顔してやることが凄まじいと言う点で、実は直球の切人よりも性悪なのだが、それにしてもコレは恐い。

↑身の丈もある包丁を持って無表情に迫るキイちゃんは恐怖そのもの。のび太もロープでがんじがらめというのも極めて恐いシチュエーションだ。

とにかく作風は違えど、根底に流れるモチーフは割と共通しているA先生とF先生ですが、やはり長いこと一緒に居ると、同じ様ないやな体験して居るんでしょうなあ。

ところで、最近すばるさんがハマっている「Papa told me」も読んでいるのですが、こちらも緻密な人間描写と、バリエーション豊かに共感する話を散りばめられた傑作なんですよ。これと「魔太郎」を同時に読むことで、自分の中のバランス感覚を磨いている今日この頃。

ではでは。