ヤドカリ一家

F先生の原体験は当然「ドラえもん」なんですが、A先生の原体験は「魔太郎がくる」でした。

田舎のおばあちゃんの家に遊びに行くと、秋田のチャンピオンコミックがよく転がっていました。チャンピオンコミックは田舎がよく似合う。

これは全くの私見ですが、チャンピオンコミックってとにかく「恐い」イメージがあるんですよ。「ブラック・ジャック」だってちゃんと恐怖コミックって銘打ってあるし(なに途中から「ヒューマン・コミック」とかほざいてんでしょうかね。「人面そう」がある限り恐怖コミックだっつうの)。

で、そのイメージを完璧に植え付けたのが、この「魔太郎」と、「芋虫」です。

「ドカベン」ですら、躊躇しましたモン。そして、ドカベンでも最後の「紹介」の部分で恐かったです。なんであの煽り恐いんだよ。

まあ、最近ですらちょっとは垢抜けて、男臭い漫画が中心になったりして毒が抜けてきましたけど、やっぱり棚に並べると(秋田コミック担当もしてました)やな気分でしたよ。「マカロニほうれん荘」なんてボクにとっては恐怖コミックに過ぎないんですよ。「ガキデカ」もね。

まあ、それはいいとして。

その時一冊だけあった「魔太郎」が凄いインパクトで、もうずっとその一冊ばっかり読んでました。

で、それっきり20年以上読んだことがなかったんですが、この間文庫でその話を探したんですが、ちゃんとありましたよ。

まずはフランケンシュタイン・マニアの人が探していた「フランケンシュタイン・フィルム・ブック」(マニアック!!)を見つけるけど、イジワルなヤツに(日上系)買われて、暖炉で燃やされちゃう話。マニアと言う存在を意識したのはアレが最初ですが、もうあのしわくちゃの千円札が凄く印象に残っていて、立ち読みしながら「ああ! これこれ!」と無言で歓喜してました。マカロニ・ウェスタンなんかの影響で、ボロボロのお札ってのに変な憧れがあるんですよ。一時期ワザとお札をしわくちゃにして母親に怒られてました。その原因の一つがコレなんでしょうねえ。まあ、オチがかなり捨て鉢なんですけどね、この話。「なんだ、そりゃ?」感高し。

次にパイ投げの話。突然ドキュメント的というか、週刊誌の抜粋のようなイメージで始まるのが凄く印象的で、パイの生々しさというか不味そさというか、異様に印象に残っていました。パイ投げが何であんな話になっていくのかってのも今読むとブラック・ユーモアというか、紛れもないA節と言う感じで理解できます。

そして、魔太郎=コレとボクの中では図式があるヤドカリ一家の話。

これは「魔少年B.T.」の最終回でもフューチャリングされていたモチーフですが、そりゃごもっともとしか言えないような強烈なインパクトと、あまりにも日常的で生々しい恐怖譚なんですよね。

先陣を切って居座る親父さんの嫌らしい「ペチャクチャ」食べと、コーヒーおかわり! が、今読み直してもやっぱり凄まじい嫌悪感。

そして遂に現れる一家の中の息子が、魔太郎にマッサージをさせて「痛い」って蹴る場面。読み直しても恐いですが、なんでマッサージなんだよって笑えます。

しかし、あの暗黒そのもののブラックなオチはやっぱりたまりませんねえ。魔太郎最悪ですよ。

それにしても「居てもおかしくない」と怯えさせる、あのヤドカリ一家ってモチーフ、なんかあるんでしょうかねえ。完璧に都市伝説ですよボクにとっては。

F先生も「いやなお客の帰し方」と言う、人間関係に潜む悪夢的要因を見事に活かした作品を描いてますけど、二人とも何かイヤな目にあってんですかね。

いや、普通の人間は誰しもあれには日常的恐怖を覚えるんですがね。

ヒマでよく遊びに来るけど、話がダラダラ長くて面白くも可笑しくもない友達って「早く帰んないかなあ」って思いますからね。全然帰んない時なんて苦痛で苦痛で。

ホント人間関係って難しいモンですよ。

ってな訳で「魔太郎」面白いです。全部読みたいなあ。

でも今のってソフト版なんですよねえ。オリジナルで読みたいけどyahooオークションだと何万も値が付いてますね。あんなの田舎にいけば幾らでも転がってそうだけどなあ。(いや、田舎に他意はないんですけどね)

ではでは。